もうすぐバレンタインですね。コロナ禍のせいで対面で手渡しの機会が難しいのではないかとも思いましたが、チョコが売り切れていたり100円ショップのラッピング売り場が盛況だったり、今年もバレンタインを楽しむ方は多くいらっしゃるように感じます。チョコって何なの?から正しい知識があれば、美味しく安全な手作りチョコレートをお届け出来ますよ!
チョコレートって何?
チョコレートって何?ってなかなか哲学的な問いですが、そんなこと考えたことありますでしょうか?大半の方にとっては「チョコはチョコでしょ?」な感じではないでしょうか。
チョコレートを美味しく作りたい、バレンタインデーが近いのでそんなことを考えている方も多いのではないでしょうか。レシピを研究する前に、まずはチョコレートの事を知ってみませんか?
”彼を知り己を知れば百戦危うからず”
チョコレートを知りレシピを知れば、百戦危うからず。オリジナルレシピにもチャレンジできるかもしれませんよ。
チョコレートの正体!
まずはチョコレートの正体を見てみましょう。 こちらは私の大好きな明治のミルクチョコレート のパッケージ裏面です。
原材料を見てみると
カカオバター
ココアバター(cocoa butter, カカオバター、カカオ脂とも)はカカオ豆の脂肪分であり、主にカカオリカーから圧搾して製造する。ココアバターはカカオ豆中に40%から50%(カカオマス中では約55%)含まれている。主に菓子(特にチョコレート)、薬品、軟膏、化粧品の原料として利用される。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ココアバター
カカオマス
カカオマス(cocoa mass、まれにcacaomas)とは、カカオ豆の胚乳を発酵、乾燥、焙煎、磨砕したもの。外皮と胚芽は工程中で除去される。液体のものをカカオリカー、冷却・固化したものをカカオマスと呼ぶ。主にココアパウダー、チョコレートの原料として利用される。
カカオマスには約55%のカカオ脂肪分(ココアバター)が含まれている。 プレス機でカカオリカーから適度にココアバターを圧搾したものをココアケーキと称し、ココアミルでココアケーキを粉砕して粉末状にしたものがココアパウダーである。 ココアパウダーの脂肪分は約11%~23%程度である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/カカオマス
などが入っていますね。
つまりチョコレートの主成分はカカオ豆から取り出した油脂なんですね。
チョコレートの味に関しては、買ってくるチョコレートの銘柄によりますが、一度溶かして再度固める際にはこの油脂という性質が重要になるのです。
チョコレートの美味しさの重要な要素が”くちどけ”です。
くちどけはチョコレートの主成分であるカカオバターの結晶がどのようになっているかが肝心です。
急に結晶とか出てきましたが、実はカカオバターも塩や砂糖と同じ結晶の構造をもっているのです!
塩や砂糖で考えると”くちどけ”を理解しやすいと思います。
たとえば、氷砂糖と粉砂糖はどちらもショ糖ですが、同じ量を口に入れた瞬間強烈な甘さを感じるのはどちらでしょうか?
直感的に、粉砂糖と分かりますよね。細かい結晶は溶けやすいのです。当たり前ですね。
ではカカオバターも”なめらかなくちどけ”を実現するためには溶けやすい細かな結晶にするのが良いと思いませんか?
チョコレートのレシピおさらい
ここまでの話をまとめると、
チョコレートのレシピは細かなカカオバターの結晶を均一に作るテクニック
となります。
実際には、チョコレートには沢山の結晶のタイプがあって、室温で溶けてしまうような緩い結晶もあれば、口に入れてもなかなか溶けない堅い結晶もあります。
しかし大抵の場合、
現代のチョコレートはどれも口の中の温度で溶ける結晶タイプになるようにできている
ので、この点はとりあえず心配無用です。お菓子メーカー様の努力に感謝ですね。
ということは、チョコレートを扱うときに目指すことは、カカオバターの結晶をなるべく細かく均一につくるということになります。
この極意の指南書こそが、”テンパリング”というチョコレートのレシピとなります”。
基本的なテンパリングの操作は
①まず50°程度に湯煎で温めることでチョコレートを溶かします
②次に混ぜながら25°強ぐらいに温度を下げ、少し硬さを出す
③少しずつ温度を上げて30℃程度でキープ、なめらかさが出るまで練る
となります。
詳しいレシピについては専門のサイトがたくさんありますし、チョコレートの種類や銘柄ごとの適切な温度も調べたら出てきますので是非検索してみてくださいね。
②についてはお菓子メーカー様の努力の甲斐あって省略することができますので、実際には①と③が現代のテンパリングになります。
レシピ手順の科学
それではそれぞれの手順で、カカオバターの結晶をどのようにコントロールしているかを見ていきましょう。
①まず50°程度に湯煎で温めることでチョコレートを溶かします
こちらは結晶状態になっているカカオバターを一度溶かして成型可能な状態にする工程です。
この工程では何を気を付けたらよいのでしょうか?
ずばり、温めすぎないことです!
チョコレートはカカオバターに様々な成分が練りこまれている状態ですが、あまり加熱しすぎると油脂が分離してしまい、再び均一でなめらかな状態にするのが難しくなってしまうのです。
この工程で気を付けるべきことは、全体の温度を均一に上げていくことです。湯煎を使うのは、直接火にかけてしまうと、鍋肌に触れている部分が一部分だけ50℃を大きく超えるような高熱になってしまうからですね。電子レンジで加熱する方法の時も、「30秒づつ様子を見ながら」などと注釈がついているのもこのためです。
もう一つ、50℃以上にならないように気を付ける秘密があるのですが、それは次の工程で。
②次に混ぜながら25°強ぐらいに温度を下げ、少し硬さを出す
この工程は現代のチョコレートを材料に使う場合には大抵は省略可能です。
この工程は何をしているのかというと、チョコレートの種結晶をたくさん作っているのです。
人の体温程度で溶ける結晶タイプのチョコレートにとって25℃はかなり冷たいです。0℃で溶ける氷の結晶を作るのに水を-10℃にしているようなイメージです。
このような融点を下回る温度なのに結晶化していない状態を「過冷却状態」といいます。
過冷却状態では、その温度差が大きいほど細かな結晶がビッシリできるようになります。
逆に温度差が小さい場合には少ない数の結晶が大きく育つようになります。
くちどけの良さを目指すなら、細かな結晶がビッシリできるようにするのが理想ですよね。
固めるときの種結晶をたくさん作る。これがこの②の工程の目的ですね。
ではなぜこの②の工程を省略しても良いのでしょうか?
それは、
非常に小さい特殊な種結晶がすでにチョコレートの中に入っているからです!
この特殊な種結晶の存在が①の50℃以上に温度を上げないように気を付ける理由にもなります。
この種結晶、実は53℃くらいで溶けてしまうのです。ですので①で面倒だからと高熱で一気に溶かしてしまった場合、非常に難しい②の工程を省略できる秘密兵器がこわれてしまうのです。
②には本来非常に高度な技術が必要になりますが、お菓子メーカーの努力に感謝をしつつスキップするのが得策だと思います。
③少しずつ温度を上げて30℃程度でキープ、なめらかさが出るまで練る
30℃でキープする工程は「②で作った沢山の種結晶」または「最初から入っている種結晶」をもとにして、体温で溶けるタイプの結晶を育てていく工程になります。結晶が均一に育つように、温度を均一に保ちながらなめらかさを出していくのです。
ただし、あまりやりすぎると成分が分離したりして品質低下につながるので、つやつやでなめらかになってきたな、と思ったあたりで終了とするのが良いでしょう。
心を込めて!と練りすぎると失敗につながってしまいますのでご注意を。
まとめ
現代のチョコレートは、手抜きをしても美味しくなるように出来ているので、気楽な気持ちで取り組むくらいが成功の秘訣です!
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